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A-3:スパイスから世界が見える

歴史の中のスパイス(その1)

その1 スパイスは貴重品だった!
スパイスの歩みをたどろう。[コショー中心]<年表><大航海時代の航海航路図>
その2 歴史上のスパイスこぼれ話|
参考図書や関連ウェブサイト その2


「2:スパイスの魅力、発見!」では、スパイスとは一体どんなもので、どのような役割があり、また使う時の工夫についても、スパイスの働きや効用、特性などを考えながら、学んできました。
さて、この「3:歴史の中のスパイス」では、一変して、世界の歴史に目を向けます。
歴史の舞台のさまざまな場面に登場してくるスパイス、なぜなのか、どのような歩みをたどったのか、年表上の事柄を追いながら、航海航路図も参照しながら、スパイスについて、より視野を広げて考察していきましょう。



スパイスは貴重品だった!
ヨーロッパの国々は、日本と同じく、コショーやシナモン、クローブなどのスパイスを穫ることができない地域です。
「4:スパイスから見る現代の食事情(その2)」スパイスの主要産地
しかし、古来より、スパイスに対する‘渇望(思い入れ)’は大変強く、宗教戦争といわれる十字軍の遠征も、スパイスの獲得という目的もあったといわれています。
また、スペインやポルトガルによる大航海時代も、目的はスパイス(特にコショー)。
その後もヨーロッパ各国では、スパイスを巡る争い(争奪戦)が長く続きます。
なぜ、どうして、ヨーロッパの人々はそこまでスパイスを渇望したのでしょうか…
もともとハーブ系のものしかなかったヨーロッパにおいて、スパイスは、その香りの魅力はもちろんのこと、冷蔵庫がなかった時代に、食品、特に肉の保存に役立つ「スパイスの防腐」、「抗菌」などの効用という実用的な面が大きな魅力でした。
「2:スパイスの魅力、発見!(その1)」スパイスの役割とは
中でもコショーは、香りづけ・臭み消し、辛味づけという働きを持ち、防腐作用もあり、大変重宝されました。

CHECK! スパイスの王様コショー

今まで「コショー」と総称してきましたが、
コショーとはペパー(Pepper)のこと。
コショーには大きく分けて、
・ブラックペパー(黒コショー)
・ホワイトペパー(白コショー)
の2種類があります。この2つの名前は、すでに何度も登場してきていますから、ご存知でしょう。
中世の頃のコショーの場合 金1オンス(30g)=コショー1オンス コショーは高価!香辛料、薬品、お金の代用としても使用
ただ、日本の家庭では昔からコショー(胡椒)といえば、<ブラックペパーとホワイトペパーをバランスよくミックスし、粉末にしたもの>をさしていますので、少し感覚が違うかもしれませんね。
このコショーは、熱帯性の多年生つる性植物。インド南西部原産。
他にマレーシア、インドネシア、ブラジル、ベトナムなどが主要生産国。
私たちの食卓には身近なスパイスですが、日本の気候では栽培ができません。
参考データや詳細解説
▼スパイスライブラリ【ペパー】[ハウス食品ホームページ]
http://www.h-spice.jp/library/pepper.html



スパイスの歩みをたどろう。[コショー中心]<年表><大航海時代の航海航路図>
とても貴重で、高価だったスパイス。
そのスパイスは、なんと紀元前から、そして現代に至るまで、歴史の舞台のさまざまな場面に登場してきます。ヨーロッパだけではなく、インドでも日本でも、そしてアメリカでも。いつの時代も、世界中で、スパイスは人々に求められるものだったのでしょう。
スパイスをめぐって、争いが起こり、旅が繰り返され、競争が始まりました。歴史を動かしてきたと言っても過言ではなさそうです。
さあ、スパイスを求める世界の歴史を紐といてみましょう。

<このページは、コショーを中心に年表形式でまとめています。他のスパイスについても、一部のものは、歴史上のスパイスこぼれ話(それぞれの話題はこの年表上からもリンク)でご覧いただくことができます。>
世界の歴史[コショー中心]<年表> 歴史上のスパイスこぼれ話
BC a.古代エジプト
古代インド b.古代インド
紀元前5世紀
大長編叙情詩『ラーマーヤナ』(ラーマー王行状記)に‘塩とコショーで食べる’食べ物の記載あり
インド南西部マラバル海岸でコショーの栽培開始
古代ギリシャ c.古代ギリシャ(ローマも含む)

d.古代中国
紀元前4世紀
医学の父・ヒポクラテス(BC460〜375)が記す
コショーと蜂蜜と酢を混合すると婦人病によく効く」
博物学者テオフラストスが『植物誌』にpeperiという言葉でコショーを記載
AC 古代ローマ e.古代ローマ
古代ローマ人はコショーを好み、肉以外に蜂蜜にもコショーをふって食べた
インド経由で東洋の香辛料がヨーロッパに輸出される
ローマ人はコショーを求めてインドのマラバル海岸に。ローマ帝国の皇帝ドミティアン(AD51〜96)は戦略物資としてコショーを貯蔵していた
f.ローマの暴君ネロ
408年
ゴート王アラリック、ローマを略奪 ※1
日本(奈良時代)
700年代
正倉院の御物の中に、コショー、クローブ、シナモンが残っている ※2
中世ヨーロッパ
イスラム教徒のアラブ人はペルシャ湾からインドのマラバル海岸に向けて数多く出航。その海岸部は「胡椒海岸」と呼ばれた
イスラム教徒のアラブ人が東洋の交易ルートを支配するようになり、コショーが流通しなくなってしまったが、ベネチアの商人たちがアラブ人と交易関係を結び、輸入を独占
g.中世の支配者層
1204年
十字軍を率いたベネチア人がコンスタンチノープルを攻撃して略奪 ※3
その後、ベネチアがコショー貿易を支配し続けた ※4
1299年
マルコ・ポーロ
『東方見聞録』にコショーの記載あり
 ※5
<航海航路図>
中国は元や明の時代にコショーをたくさん輸入
大航海時代
1492年
クリストファー・コロンブス
スペインからコショーを求めて西へ出航。その後の航海にてアメリカ大陸を発見

<航海航路図>
h.アメリカ大陸の唐辛子
1498年
ヴァスコ・ダ・ガマ
ポルトガルから出航し、カリカットに到着。インド航路の発見
 ※6
<航海航路図>
i.高級品サフラン
1500年
ペドロ・アルヴァレス・カブラル 
南アメリカ大陸ブラジルを発見。翌年、スパイスをのせて帰国
1519年
マゼラン
スペインから世界周航へ出発〜1522年

<航海航路図>
j.オールスパイスの発見
1543年
ポルトガル人が種子島に。鉄砲伝来(室町時代)
1549年
フランシスコ・ザビエル日本来航
帝国主義(重商主義)の誕生
1600年
イギリス 東インド会社設立
1602年
オランダ 東インド会社設立
(その後、フランスの東インド会社設立、オランダの西インド会社設立が続く) ※7
イギリスとオランダの競争がコショーの価格低下をもたらす ※8
k.江戸時代
l.ペスト予防薬
m.クローブの苗木
1797年
アメリカ人のジョナサン・カーンズがスマトラ島で偶然にコショーを発見。これを機にアメリカもコショー等のスパイス獲得に乗り出す
→各地で生産されるようになり、価格低下
1853年
ペリーが浦賀に来航
1868年
明治維新

<ハウス食品派遣講師による講義時利用の教材冊子『スパイスから世界が見える』参考>


注釈
※1: ローマ人は街を略奪しない代償として、1200kgのコショーを支払ったが、効果はなく、コショーも街も略奪されてしまった。
※2: 正倉院御物といえば聖武天皇の御遺物を中心に、光明皇后が東大寺に奉納したもの。その中に、珍しい薬としてシナモン、クローブ、人参、甘草、じゃ香などとともに、胡椒(コショー)も含まれていた。
※3: 1096年、第1回十字軍の出発。十字軍の遠征は、兵士たちがイスラム圏の生活様式や食物を味わうことで、ヨーロッパの嗜好にも大きな影響を与えた。
当時、コショーは黄金と同じ程の高値で取引され、ベネチア人に‘天国の種子’と呼ばれた。
スパイスは貴重品だった!
※4: メディチ家家紋13〜15世紀にイタリアのフィレンツェを中心に、スパイスと貿易と金融業で巨万の富を築いたメディチ家の家紋は、コショーなど6種類のスパイスや薬味を模したデザインということ。
※5: 『東方見聞録』に「チパング(日本)には黄金や真珠が豊富にあり、生えている木は香木、黒胡椒白胡椒も豊富にある」といったことが書かれていた。
※6: ヴァスコ・ダ・ガマは、インド国王に、来航目的は「キリスト教とスパイスのため」と告げた。
※7: オランダ商人はジャワ島のバタヴィア(現ジャカルタ)を拠点に、アジアとの貿易(主にスパイス)を独占。北米にも進出した。その後、1621年の西インド会社設立の頃には、極東のスパイス貿易を独占。それを守るために木の生えている場所を秘密にし、過剰な供給が値段を崩さないように、苗木を抜いたり、焼いたりしていた。
※8: イギリスとオランダの競争に加え、中世に比べ、肉の消費量が減り、スパイスに対する情熱が後退したことも、価格低下の要因。
大航海時代の航海航路図
大航海時代の航海航路図

<ハウス食品派遣講師による講義時利用の教材冊子『スパイスから世界が見える』より転載>

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その1 スパイスは貴重品だった!
スパイスの歩みをたどろう。[コショー中心]<年表><大航海時代の航海航路図>

その2 歴史上のスパイスこぼれ話|参考図書や関連ウェブサイト


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