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A-3:スパイスから世界が見える

スパイスから見る現代の食事情(その1)

その1 世界各国のスパイスを使った料理のご紹介、各国の料理とスパイスの関係について
日本国内の各国料理の広がり
その2 スパイスの主要産地<地図>、輸入に頼る日本の食事情|スパイスと健康のかかわり|
スパイスから世界が見えてくる…| 参考図書や関連ウェブサイト その2


1:から3:までのテーマでは、暮らしの中から、あるいは世界の歴史の歩みから、スパイスについて広く考察してきました。また、そのスパイスは植物であることも学びました。
このテーマでは、「スパイスと聞けば料理に使われるもの」と誰もが思う通り、料理とスパイスの関係から、主要産地、健康とのかかわりまで、食という視点からスパイスを見ていきます。
そして、そこから、日本、あるいは世界の食事情についてまで考えを深めていければと思います。



世界各国のスパイスを使った料理のご紹介、各国の料理とスパイスの関係について
世界で愛されるスパイス料理大集合
アップルパイ(アメリカ) シナモン アメリカを代表するデザートカプチーノ(イタリア) シナモン イタリア独特のミルクコーヒーグーラッシュ(ハンガリー) パプリカ パプリカを効かせたハンガリーの煮込み料理キムチ(韓国) 唐辛子 韓国の漬物
麻婆豆腐(中国) 花椒・唐辛子 中国・四川料理の一つトンポーロー(中国) 八角 中華風豚の角煮トムヤムクン(タイ) 唐辛子・レモングラス他 タイのすっぱくて辛いスープガスパッチョ(スペイン) ガーリック・ブラックペパー スペインのトマトと野菜の冷たいスープ
チキンカレー(インド) クミン・唐辛子・ターメリック他パエリア(スペイン) サフラン スペインのサフランの効いたピラフクラムチャウダー(アメリカ) タイム アメリカの貝の入った具だくさんのスープ

<ハウス食品派遣講師による講義時利用の教材冊子『スパイスから世界が見える』より転載>
どれもおいしそう…
上記表では、世界各国のスパイスを使った料理をいくつかご紹介していますが、ここに掲載した料理はほんの一部。世界ではスパイスを使った料理がとても発達しています。さまざまな料理にいろいろなスパイスを使っています。表の中に、日本ではあまりお馴染みではない料理もありますね、食べてみたいですね〜。
スパイスを使った日本料理〜香辛料、薬味の世界
では、日本料理にはスパイスを使った料理がないのかといいますと、そうではありません。
概して「日本の料理はスパイスを使わない」といわれていますが、香辛料薬味といった言い方で、料理の味つけとして、あるいは、味を引き立たせるものとして、日々、多くの料理に使われています。たとえば、
▽すし⇒わさび ▽鯖の煮付け⇒しょうが ▽うなぎ⇒さんしょう ▽うどん、焼き鳥⇒七味唐辛子(ミックススパイス) ▽鮎の塩焼き⇒たで酢 等など
江戸時代には‘こしょうめし’という、いかにも日本的な料理もありました。
江戸時代の代表的な料理本の一つ『名飯部類』に‘こしょうめし’として登場しているこの料理は、炊きたてのご飯にコショーを振り、だし汁をかけて食べるという、シンプルだけれど、コショーの風味を存分に味わえるもの。
なぜ、概して「日本料理はスパイスを使わない」といわれているのでしょうか?
・わさび、たで等に代表されるように、使っているスパイスの多くが日本独特のものである
・最後に薬味的に使うことが多いなど、世界の国々と比べ、使い方が日本独特である
・歴史的に見て、スパイスに対する思い入れが弱い
・スパイスと呼ばれるものと、日本の香辛料や薬味は別のものと思っている日本人が多い
などの理由や特徴があるようです。なんとなく、思い当たる所がありますよね。
日本の味にもっとスパイスを...
日本料理のプロの世界では、料理にもっとスパイスを取り入れてみようとしています。たとえば、
▽あんかけ仕立ての‘あん’(葛でとろみをつけたあん)⇒カレー風味に(カレーパウダー使用)
▽潮汁(鯛頭の塩味の汁物)⇒コショーを振る
▽天ぷらの塩⇒カレーパウダーを混ぜたカレー塩
など。スパイスは、日本と世界の、味や香りの融合を演出してくれます。
TRY スパイスで、おいしさアップ!
普段食べているこの料理に、このスパイスを使うと、いっそうおいしさが引き立ちます。
それぞれのスパイスの特徴や特性を考えながら、試してみましょう。
○トーストにシナモンシュガーを振って、シナモントースト
○カレーは仕上げにガラムマサラを振ると、より香り高く
○ハンバーグやミートローフなどの挽き肉料理には、ナツメグを入れて練り込む
○カレーやシチューには、煮込む時にローリエを使う 「2:スパイスの魅力、発見!(その2)」スパイスの使い方の工夫〜【特性d】
各国の料理とスパイスの関係
東南アジア・インド料理
タイ、ベトナム、インドネシアなど東南アジアの国々、そしてインド。[エスニック料理]を代表する国々は、料理の味つけにスパイスを多用しています。
<背景>
東南アジアの国々は植民地時代の統治国の影響あり。伝統的な食材とヨーロッパ風の調理法の融合による新しい味もあり
インドは古代文明の頃からスパイスを薬品として使用。コショーをはじめ、各種スパイスを栽培
<料理とスパイス>
東南アジアの国々では、唐辛子(レッドペパー)を多用したホットな(辛い)料理と、数種類のスパイスをブレンドして作る料理(時にはカレーと呼ばれる)スパイシーな料理が好まれる。甘酸っぱいものも多い
東南アジアでは、独特の強い香りを持つ香菜(シャンツァイ、パクチー)、レモンによく似た香りのレモングラスが多用されている。コリアンダーやクミンなど、比較的香りの強いスパイスも活躍
インドでは、カレー風の煮込み料理に限らず、サラダでも、デザートでも、飲物でも、スパイスを使用。クミン、コリアンダー、カルダモン、シナモン、そして大量の唐辛子(レッドペパー)が消費される 世界中で愛されるスパイス料理大集合
健康面でも効果のあるスパイスは、インドの食文化になくてはならないもの
中国料理
中国四千年の歴史が育んだ食文化、料理よりも長い歴史をもつスパイスの薬効、医食同源の思想が根づいています。
<背景>
広大な中国大陸、中国の料理をひとまとめに扱うことは無理としても、醤油や味噌という発酵調味料が活躍
動物性食品の保存や輸送に工夫を要したために、乾物の製法や使い方に知恵を発揮
食材を余すところなく活用している
<料理とスパイス>
花椒(ホアジャオ/中国のさんしょう)が中国の代表的なスパイス。「炸八塊(チャーパークアイ/中国風鶏のから揚げ)」には花椒塩、魚肉の塩漬け・燻製などの保存にも花椒が使われている
唐辛子(レッドペパー)、しょうが、にんにくは香味野菜的に使われる
「東坡肉(トンポーロー)」「杏仁豆腐」に使う八角茴香(スターアニス)や茴香(フェンネル)、魚の醤油煮や豆の炒め煮風中華惣菜などに使うミックススパイスの五香粉(ウーシャンフェン)、薬膳を除けば使うスパイスは限られている 世界中で愛されるスパイス料理大集合
メキシコ・中南米風料理
メキシコ、中南米の国々の料理には、唐辛子類が活躍。とびきり辛くてスパイシーです。
<背景>
中南米の先住民インディオの祖先たちは、古くから唐辛子(チリ)を利用
スペイン、ポルトガルに征服された中南米の国々、今もこの2国の影響を色濃く残していることも料理の特徴
<料理とスパイス>
メキシコ風大衆料理「チリコンカルネ」は有名。牛肉と豆をチリパウダー(レッドペパー、パプリカ、オレガノ、ガーリック、クミンなどを調合したミックススパイス)で煮込んだもの。スパイシー!
「サルサ」と呼ばれるメキシコ料理の代表的なソースには、とびきり辛い赤、黒、緑のさまざまな唐辛子類が使われている
南欧料理(地中海に面する国々の料理)
地中海に面するということで共通する国々(地域)=スペイン、南フランス、イタリア、ギリシャ、トルコ、北アフリカなどは、強い香りのスパイスで料理の味を引き立てています。
<背景>
トマトを野菜として味わうだけではなく、基礎調味料として有効に利用
海の幸、にんにく、オリーブオイル、ラムや子牛の肉、ぶどうなど、伝統的な食材が豊富
<料理とスパイス>
トマトは合わないものはないといってもよいほど、どんなスパイスにも合う素材。酸味があるので、強い香りのスパイスとも一緒に使える
魚介類と相性の良いタイムやローリエ、ピザやトマトソース系のスパゲティに合うオレガノ、バジル、パセリなどのハーブ類、コショー(黒、白)など、多彩に使われている
大型ピーマン(パプリカ)をさまざまに利用。またサフランもよく使われる(スペイン・バレンシア地方で栽培)→スペイン「パエリア」、南フランス「ブイヤベース」 世界中で愛されるスパイス料理大集合
フランス料理
フランスは世界でもっとも食文化の豊かな国の一つ、香りのスパイスで料理に繊細な味わいを加えています。
<背景>
ワインやチーズの産地も多い
良質の牛や鶏肉、卵や乳製品を産出する農業国
<料理とスパイス>
フランス料理におけるスパイスの役目は、どちらかといえば控え目
スパイスの強い香りを際立てるより、オーソドックスなスパイス(コショー、ナツメグ、シナモン、クローブ、ローリエの他、タイム、タラゴンなどのハーブ類も多い)を量は控え目にバランスよくブレンドし、繊細な香味を見事に使いこなす
コショーの白と黒の使い分けに工夫が重ねられている
北・東ヨーロッパ風料理
ドイツ地方や東欧・北欧は、気候的な条件もあり、食生活は質実剛健。料理にはドライで個性的な香りをもつスパイスがよく合います。
<背景>
じゃがいも料理が多い
南ヨーロッパに比べると、北や東の人々の食生活はストイック(禁欲的)で質実剛健
豚肉の摂取量が多い。ハムやソーセージにはおいしいものがたくさんある
気候的な条件もあり、マリネやピクルス、ザワークラウトのような保存食作りが盛ん
<料理とスパイス>
ソーセージ、ザワークラウト、ポテトサラダ、にしんのマリネなど、代表的な料理にはキャラウェイやディルのように、ドライで個性的な香味をもつスパイスがよく合う
東欧ハンガリーの特産品パプリカ、この実を乾燥させて粉末にしたパプリカのパウダースパイスは「チキンパプリカ」や「グーラッシュ」と呼ばれるシチュー料理には欠かせない 世界中で愛されるスパイス料理大集合
上の表は、世界の代表的な料理にスパイスがどのように使われているのか、その国々の料理とスパイスの関係を、歴史や伝統や地理的な背景からの影響もあるため、含めて一覧にしています。
オリジナリティ豊かな各国の料理は、スパイスととても密接な関係にあります。
参考データや詳細解説
▼スパイス各国料理ライブラリ[ハウス食品ホームページ]
http://www.h-spice.jp/library/kakkoku.html

▼A-1:カレーからはじめる国際理解「5:カレーと健康(その1)」医食同源から見たカレー


日本国内の各国料理の広がり
ご紹介した各国の料理、スパイスとは密接な関係にあり、その国の料理になくてはならないものであることがわかりました。また、スパイスにはあまり縁がないと思っていた日本の料理にも日常的に使われていることをあらためて知りました。
その私たち、今や日本料理だけではなく、
海外の現地でその国の料理を食べたり、
日本国内において、各国料理のレストランや食堂でその国の料理を食べたり、
と、世界各国の料理を味わう人々や機会が増えています。
(※海外旅行者の増加、日本国内の各国料理店の増加)
また、各国の料理が紹介され話題になる中、その影響を受けてか、家庭の料理にもその国の味や香りを取り入れてみようとする人たちも増えてきています。家庭で作る料理の幅が広がっています。
このような状況を見ると、私たち日本人の食生活にも各国料理の影響が徐々に浸透し、グローバル化してきているといえそうです。そして、そんな中、スパイスもなくてはならない存在になってきているようですね。
ちょっと余談
A-1:カレーからはじめる国際理解の体験学習(講義&実習)として、実施ご希望校にインド人講師を派遣し、インド文化やカレーのお話や体験を行なっています。
インド人講師が「インドの人を見たことがありますか?インドのカレーを食べたことがありますか?」と尋ねると、多くの児童・生徒の皆さんが「ある」と答えます。それは、近くのインドカレーのレストランでの体験談が多く、インドカレーのレストランがいかに日本国内に多いかを知ります。
参考データや詳細解説
▼ 日本人の出国状況[法務省ホームページ]
http://www.moj.go.jp/TOUKEI/t_n01.html

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その1 世界各国のスパイスを使った料理のご紹介、各国の料理とスパイスの関係について
日本国内の各国料理の広がり

その2 スパイスの主要産地<地図>、輸入に頼る日本の食事情|スパイスと健康のかかわり|
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